車谷長吉さん
最近寝る前に車谷長吉さんの本を読んでいる。
直木賞作家の車谷さんは、家族や親戚が「それだけは書かないでほしい」と思っているようなことを書いて、作家となった。今読んでいる「業柱抱き」というエッセイにその辺の経緯が書かれているけれど、人のいやがるようなことを書いているということについて常に悩み苦しみ、だけど書かずにはいられない車谷さんの「業」がそこにある。
読んでいて、私はことごとく同意してしまった。私も親が読んだら卒倒するようなことをたくさん書いてしまったし、実際、親戚から非難も受けた。だけど書かずにいられないのだから仕方がない。せめてもの救いはそれを「小説」というオブラートでくるんでいるということだけだと思う。どこまでが事実でどこまでが嘘なのかは、永遠に読者には謎である。それが、私小説だと思う。
個人的に常日頃思っていることは、現実こそがドラマであり、小説は現実にどこまで近づけるかが勝負であって、だからこそ私小説というのはすごくギリギリのラインだということだ。私小説書きとして、車谷さんの本をもっと読んでいろいろと学ばせていただこうと考えている……。
車谷さんを知ったのは映画「赤目四十八滝心中未遂」を観て原作を読みたくなったから。
この映画にお誘いくださった作家・夏石鈴子さんに感謝しています……。
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